おやすみ、先輩。また明日
二千円をなんとか受け取ってもらおうとしたけど、宇佐美先輩は聞く耳持たず。
お札を持っていた手首を掴まれて、顔をのぞきこまれる。
「泣きそうな顔しちゃって。いいから、そのお金は自分の服のクリーニングに使いなね」
「でも……」
「杏ちゃんの手作り、藤のついでにもらってきたしねー。
それでも納得できないなら、今度俺にだけに、何か作ってきてよ」
「……そんなので、いいんですか?」
「充分じゃない。あ、でも藤には秘密ね。蹴り入れられそうだから」
わざと教えるのも楽しそうだけど。
なんて笑う宇佐美先輩に、わたしもようやく笑うことができた。
何考えてるのかわからない人だけど、やっぱり悪い人じゃなかった。
優しい人だった。
ヤンキー先輩の友だちだもんね。