おやすみ、先輩。また明日

二千円をなんとか受け取ってもらおうとしたけど、宇佐美先輩は聞く耳持たず。

お札を持っていた手首を掴まれて、顔をのぞきこまれる。



「泣きそうな顔しちゃって。いいから、そのお金は自分の服のクリーニングに使いなね」


「でも……」


「杏ちゃんの手作り、藤のついでにもらってきたしねー。
それでも納得できないなら、今度俺にだけに、何か作ってきてよ」


「……そんなので、いいんですか?」


「充分じゃない。あ、でも藤には秘密ね。蹴り入れられそうだから」



わざと教えるのも楽しそうだけど。


なんて笑う宇佐美先輩に、わたしもようやく笑うことができた。



何考えてるのかわからない人だけど、やっぱり悪い人じゃなかった。

優しい人だった。


ヤンキー先輩の友だちだもんね。

< 149 / 356 >

この作品をシェア

pagetop