おやすみ、先輩。また明日
「何もないならくだらねぇこと喋ってんじゃねぇぞ。胸糞わりぃ」
「ご、ごめん……」
「ねぇ。先行こっ」
ヤンキー先輩に睨まれた彼女たちは、逃げるようにわたしたちを追いぬいて体育館の方へ走っていった。
周りの人たちも、目を合わせないようにしている感じ。
もしかしてヤンキー先輩、クラスメイトにも怖がられてるのかな。
顔怖いから。
こんなに優しいヤンキー先輩を敬遠するなんて、皆見る目ない。
宇佐美先輩がいたら上手くフォローしてくれそうだけど、あいにく今は不在だもんね。
「ねえ。ヤンキー先輩」
「あ?」
「わたし、大丈夫だよ?」
先輩の制服の袖を引いて、明るく笑う。
だって実際、そんなに気にしてないし、傷ついてもない。