おやすみ、先輩。また明日

あまりの近さにどきどきしていたら、ヤンキー先輩の横からゴホンとわざとらしい咳ばらいが。



「朝からイチャつくのやめてくれる~?
杏ちゃんがぼ~っとしてるのはいまに始まったことじゃないし」



珍しく寝坊せずに電車に乗っている宇佐美先輩。

憎まれ口叩いているけど、眠そうな顔と声だから迫力がない。



「うぜぇぞウザミ。てめーは寝てろ」


「寝たいから言ってんの。イチャイチャして俺の眠りを妨害しないでよねー」



目をつむりながらそう言った宇佐美先輩は、そのまますぐ眠ってしまったらしい。

小さな頭がかくんかくんと船をこぎ始めた。



「くるくる。具合でも悪いのか?」


「ううん。とっても元気! ちょっと寝不足なだけだよ~」


「そうか。そういやお前、今日部活休みって言ってたよな。帰り暇か?」


「え。……ごめんねヤンキー先輩。今日は人と会う約束してるんだ」


< 188 / 356 >

この作品をシェア

pagetop