おやすみ、先輩。また明日
食感がザクザクっとした、フロランタンっぽいクッキーにしてみた。
秋っぽいけど、ちょっと早すぎたかなあ。
夏の間はつるんとしたのど越しの良いお菓子を作っていたけど、
本当はヤンキー先輩が好きなのはカリカリとかサクサクとか、歯触りの独特な食感のものらしい。
だからこれからは、甘さ控えめと食感を考えて作っていきたいな。
包みを受け取ったヤンキー先輩は、わたしを冗談っぽく睨んでくる。
「美味そうだな。お前、夜中にこれ作って寝不足なんじゃねーの」
「あ、それは違うよ! 眠れなくて、どうしようかと思って、眠れないならいっそお菓子を作っちゃおうかと思って。……えへ」
「ったく。菓子作りもいいけど、ちゃんと寝ろ。目ぇ赤くなってんぞ」
ヤンキー先輩の骨ばった指が、わたしの目元をそっと撫でた。
くすぐったいのと気恥ずかしいので、顔が一気に熱くなる。