おやすみ、先輩。また明日
え~!
わたしのレシピでお菓子を作って、編集部の人たちが食べてくれたの? 本当に?
「僕も食べました。実は甘い物はそれほど得意ではないんですが、杏さんのスイーツはどれも美味しかったですよ。
特にほろ苦いティラミスは独特な食感もあって最高でした」
なんだか、本当に食べてくれたっぽい。
詐欺じゃないかという疑いが、みるみる自分の中でしぼんでいく。
「わたしも娘の作ったものは良く食べていますけど、本になるなんて……」
「レシピだけではなく、杏さんのブログにはもう1つ魅力があるんです」
「あっ!」
叫んでしまって、慌てて自分の口をふさぐ。
しまった。
ブログでヤンキー先輩のことについて書いてること、梶原さんにメールで口止めしておくべきだった。
ヤンキー先輩のことでは胸を張っていたいけど、親に知られるのはまた別だ。
なんていうか、照れくさいっていうか……。