おやすみ、先輩。また明日
強くうなずくお母さんに、わたしと梶原さんは同時に苦笑いした。
「それに本を作るとなると、家でパソコンだけて作業というわけにはいかないんでしょう?」
「そうですね。撮影もたくさんありますので」
「さ、撮影? 杏。やっぱり考えた方がいいわ。お母さんはお姉ちゃんの予備校と優斗のスイミングスクールの送り迎えで忙しいし……」
またお姉ちゃんと優斗か。
わたしのことはいつも二の次、後回し。
もう少しわたしのことを考えてくれてもいいのにって、いまさらだけど思ってしまう。
「ご心配なら遅くなる場合は僕が杏さんを送りますし、出来る限り学校にもお迎えに行きますよ」
「えっ!? そ、それはいいです! 自分で行けます!」
梶原さんの心遣いはありがたいけど、もう子供じゃないんだし。
お母さんが忙しいのと、わたしが本にしたいかどうかは全然関係ない。