おやすみ、先輩。また明日
わたしはわたしの気持ちだけを考えよう。
顔も名前も出さずに済むなら……。
わたしの片想いがつまったブログが本という形になる
わたしの恋が破れても、本はそのまま世に残る。
それってとてもうれしいことじゃない?
そしてその本が、全国の切ない片想いをしている女のコたちを応援するような、手助けできるような存在になるのなら。
「ぜひ、よろしくお願いします!」
「杏!?」
相談もなくそう答えてお母さんには怒られたけど。
考えても断る理由は見つからなかったんだからしょうがない。
「よかった。ありがとうございます、杏さん」
ほっとしたように微笑む梶原さんと、わたしはしっかりと握手を交わした。