おやすみ、先輩。また明日
「藤には知らせようか迷ったんだけどさ。自分の彼女の本性を知る良い機会だと思って。
本当は藤、もっと早く助けに入ろうとしてたんだけど、俺が止めたの。麻美ちゃんに止めを刺したくて」
恐い! 止めって!
やっぱり宇佐美先輩って恐い人だ……。
「そのせいで杏ちゃんには痛くて恐い思いさせちゃったけど」
「わたしは全然大丈夫ですよ」
「ごめんね? でもこれで確実に藤の気持ちは麻美ちゃんから離れていくだろうから許してよ」
いつものように偉そうに言いながらも、ふわりと優しく笑う宇佐美先輩。
最近ヤンキー先輩も宇佐美先輩も優し過ぎて、なんだか調子が狂う。
優しくされ慣れてないからかな。
家族の中でも、わたしって後回しにされる存在だし。