おやすみ、先輩。また明日
少し落ちこみかけたわたしの頭に、ぽんと慰めるように手が置かれた。
やっぱりこわいくらい優しい。
どうしちゃったんだろ。
「じゃ、帰ろうか。送るよ」
「ええ? 大丈夫ですよ」
「藤も言ってたじゃん。あんなことがあって、さすがにひとりで帰すわけにはいかないでしょ。俺そこまで鬼畜じゃないよ」
「え。宇佐美先輩、鬼畜じゃなかったんですか? ふぎゃっ」
思いきり鼻をつままれた。
だって先輩、出逢った時はかなり鬼だったじゃん。
いまもわたし心身ともにダメージきてるんだから、もうちょっと労わってくれてもいいのに……。
なんて言おうものなら更に凹まされそうなので、わたしは黙って宇佐美先輩に続いて駅へと向かった。