おやすみ、先輩。また明日


「リンチするような女なんて最悪じゃん? そんな女と藤が付き合っててもいいの?」


「されてないし! それに麻美さんは手を出すどころかほとんど喋ってもなかったんですよ」


「相変わらずバカでお人よしだねぇ、杏ちゃん。何もしないからあの子はタチが悪いんじゃん」


「どういう意味ですか?」



宇佐美先輩、前もそんなようなこと言ってなかったっけ。


無表情だけど、声で苛立ってるのがわかる。



不機嫌な宇佐美先輩こわい。


あれ、でもだいたい彼は不機嫌か。



「なんかいま、俺に対して失礼なこと考えてなかった?」


「え。いえ、まったく」


「まあいいけど。あの子はさー、弱いわけ。本当に弱いんじゃなくて、弱ぶってるっていうか。なんでもかんでも全部他人任せなんだよね」


「なんでもかんでも?」


「さっきのもそーじゃん? 杏ちゃんリンチすんのもうまい具合に友だちに任せて、自分は手を汚さないんだよ。性悪だよねー」

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