おやすみ、先輩。また明日
でもこの人はヤンキーじゃないっぽい。
なんとなく喋り方も緩いし。
髪は凄く明るい色だけど、白ベストが似合う爽やかさはスポーツ少年並み。
そしてちょっといまどきっぽいイケメン過ぎて、軽そうな印象。
「きみさー、調理部の1年のコでしょ?」
「えっ。なんで知ってるんですか?」
「なんでって、可愛いから目立つんじゃない? よく言われるでしょ」
「おいウザミ。後輩たぶらかすんじゃねーよ」
「ははは。ひどいなー藤。俺別にたぶらかさなくても、女のコの方から寄ってくるし」
「うぜぇ」
「藤は本当に口が悪いねぇ」
ヤンキー先輩は不機嫌そうに舌打ちして、煙草を取り出した。
ふうん。
ヤンキー先輩の名前、藤っていうんだ。
藤……苗字かな? それとも名前?
「それで、きみの名前はなんだっけ。確か桜沢……」
「あ、はい。1年B組、桜沢杏です」