おやすみ、先輩。また明日
家の近くの交差点。
赤信号で止まった宇佐美先輩はわたしを見下ろしため息をついた。
あれ。
また馬鹿にされてる?
宇佐美先輩の長い指が、わたしの頬をぐにっと強く摘まんだ。
地味に痛いです。
「そんなの決まってるじゃん。きみのことが好きだからだよ」
不機嫌そうにそう言って、青信号になってまた歩き出す宇佐美先輩。
わたしはすぐには反応できなくて呆然と突っ立っていたけれど、信号が点滅して慌てて彼のあとを追った。
「宇佐美先輩!いきなりとんでもない冗談言うのやめてくださいよ!
……もう。一瞬本気にしそうになったじゃないですか~」
「冗談じゃないから黙ってくれる? 不愉快」
「……え?」