おやすみ、先輩。また明日
いま宇佐美先輩、なんて言った?
冗談じゃない? なにが?
好きだって言ったことが冗談じゃないってことだろうか。
それってつまり本当にわたしのことが好きってことだろうか。
でもいまわたし、不愉快って言われたような気がしたんですが。
好きな相手に不愉快とか言わないよね?
そうやって脳が一生懸命上手くおさめようとしていたのに、不意に冷たい手がわたしの手をからめとるから。
頭もフリーズして、ついでにわたしの足もフリーズした。
「どうも俺、杏ちゃんが好きらしい。結構前から気になってしょうがなかったんだけどさ」
わたしと同じく足を止めた宇佐美先輩は、なんだか疲れたようにそう言った。
諦めた、といった風に。
まるでわたしが好きだという気持ちに必死で抵抗でもしていたみたい。