おやすみ、先輩。また明日


「そういうわけだから、藤はやめて俺と付き合わない?」


「ムリです」


「……即答しないでくれる? もうちょっと真面目に考えてよ。冗談じゃないんだから」



思いきり睨まれて、手もお仕置きとばかりにぎりぎりと握りしめられた。

痛い痛い痛い。


おかしいな。

冗談じゃないとか言ってるけど、とても好かれてるようには思えないんですが。



「か、考えても同じです。ムリです。だって宇佐美先輩はヤンキー先輩の友だちで、わたしが好きなのはヤンキー先輩だから」


「……凄く腹立たしいけど、きみらしい答えだね。
ま、予想してたことだからいいけどさ」



あっさりと、宇佐美先輩の手から解放される。


握られた手はじんじんとして、熱かった。

宇佐美先輩の手はあんなに冷たかったのに。

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