おやすみ、先輩。また明日


「ごめんなさい……」


「謝らないでくんないかなあ。惨めになるじゃん」


「ご、ごめんなさい。じゃなくて、えっと……」


「あー、いいよいいよ。きみはもう喋んなくていい」



告白された直後に呆れられるって、どんな状況だ。


再び歩き出す宇佐美先輩と、距離を置いてわたしも足を踏み出す。


それからはふたりほとんど無言で歩いて、数分後家の前に着いた。




「じゃ、じゃあ……」



気まずいなあと思いながら宇佐美先輩を見上げると、

予想外に優しく微笑む彼がいてびっくりした。


なんでそんな風に笑ってるの?



「あのね、杏ちゃん」


「は、はい」


「俺はモテるから、きみごときに振られても痛くもかゆくもないんだよ」



……ん?

なんかいままたとても馬鹿にされたような気がしたんだけど。

< 237 / 356 >

この作品をシェア

pagetop