おやすみ、先輩。また明日
本当にこの人、わたしのこと好きなんだろうか。
やっぱり冗談っていうオチじゃないの。
そう決めつけかけたわたしに、少しだけ寂しそうに彼は微笑んだ。
「だから気兼ねせずに、何かあったら連絡してきな」
「……ありがとう、宇佐美先輩」
「どーいたしまして。おバカな杏ちゃん」
ぽんと頭に乗せられた手に、思わず微笑み返してしまった。
ああ、そうか。
この人はとんでもなく素直じゃないんだ。
本当はとっても優しいのに、いじわるなふりしてる。
物凄く損な性格なんだなあ。
急に目の前の人が可愛らしく思えてきた。
いままでより少し、宇佐美先輩のことを好きになれそうだ。