おやすみ、先輩。また明日
「お前、嘘下手すぎ」
苦笑したヤンキー先輩に、不意に抱きしめられた。
苦い煙草の匂いと、あったかい体温に包まれて。
わたしの心と涙腺が一気にゆるむ。
「言えよ」
「……言わない」
「言ってくれ」
「ヤンキー先輩のばか!」
彼の匂いがするシャツをギュッと握りしめて、叫んだ。
我慢していた涙が、そのシャツに染みこんでいく。
「ばかばかばか!」
ずるいよ、ヤンキー先輩。
あなたはずるい。
わたしの気持ちに気付いているなら、いままで通りでよかった。
可愛がってくれてはいても、ちょっとだけ距離はある。
踏み込んじゃいけない領域は保ってる。
そんな関係でよかったんだよ。