おやすみ、先輩。また明日
ふたりが罵り合う声を聞いていたら、また眠くなってきた。
うるさいのに心地よいって変な感じ。
でも本当に眠くて眠くて……。
「あ、こらくるくる。寝んな」
「杏ちゃん、もう着くよー」
「ん……ちょっとだけ」
結局寝かせてはもらえなくて、すぐ駅に着いてしまった。
頭も体もまだ半分眠っているような状態で、ふらふらしながら学校まで歩く。
ヤンキー先輩と宇佐美先輩が挟むように支えてくれなかったら行き倒れて眠っていたかも。
「今日もバイトか?」
生徒玄関に入ったところでそう聞かれ、わたしは眠い目をこすりながら頷いた。
今日の部活は調理日なんだけど、今日から撮影が始まるから出られない。
すごく残念だ。
帰りにヤンキー先輩に会えるかなって期待する楽しみもないし。