おやすみ、先輩。また明日
「はい、杏ちゃんストップ!」
「撮りまーす!」
ピカピカに磨かれたキッチンスタジオ。
ずらりと並ぶ照明機材に、撮影に使う可愛いマットや花、コースターなどの様々な小物。
そして皿やカトラリーなど食器類も、持って帰りたくなるようなものがたくさん。
それらに囲まれて、わたしはいつもの戦闘服、水玉のエプロンを身につけ立っていた。
今日作っているのは、2週間くらい前にヤンキー先輩に食べてもらったひとくちかぼちゃのパイだ。
顔は写らないけど、手とか体の一部は写ってもOKということにした。
わたしじゃない誰かの手を写るくらいなら、自分で全部やりたい。
そう思ったから。
でも予想していたよりずっと撮影回数が多くて大変だった。