おやすみ、先輩。また明日
「ヤンキー先輩?」
「あ。わりぃ」
「ううん。どうしたの? 何か用事あった?」
「いや……お前さ」
「うん」
「……やっぱいい。なんでもない」
なにそれ、気になる。
全然なんでもないって感じじゃないじゃん。
「なんでもないってことはないんじゃないの~?」
にやにやと笑う宇佐美先輩のお尻を、ヤンキー先輩が苛立たしげに蹴る。
仲が良いのはいいけど、階段を下りてくる1年生が怖がってるのでやめた方がいいと思う。
「うぜぇんだよ、テメーは」
「はいはい。俺先靴履き替えてるわ~。杏ちゃんまたね」
「あ、うん。また。……それで、ヤンキー先輩は?」
「いいんだ。気にすんな。……部活とバイト、がんばれよ」
「ありがと……」
なんだか誤魔化された感じだ。
もやもやしたものが残ったけど、のんびりしてる暇はないのでわたしはまた調理室へと走り出した。