おやすみ、先輩。また明日

突然の情報に頭が追いつかないでいると、宇佐美先輩に手を引かれ電車を降りることに。


手をつないでるって意識すらなかったんだけど、

待っていたヤンキー先輩がわたしたちの繋がった手を見て、みるみるこわい顔になっていくから焦って離れた。



「なにしてやがる、宇佐美」


「べっつにー? 杏ちゃんがぼんやりしてるから、引っぱってあげただけ」


「嘘つけ。うぜぇぞ」



今度はつかみ合いのケンカを始めたふたりだったけど、わたしは止める余裕もなくその様子を見ていた。

宇佐美先輩の言葉の意味を理解するのに精いっぱいで。



イヴにクラスの仲間で過ごすって、どうして?

麻美さんは?


麻美さんの方に何か用事があるの?

イヴじゃなくてクリスマスに一緒に過ごすとか?


ぐるぐると考え続けていたけれど、答えなんて出るはずもなく。



ただ、麻美さんと過ごさないなら……。


わたしのことは、誘ってくれないの?


なんてずいぶん自意識過剰なことを考えてしまって、自己嫌悪に陥った。












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