おやすみ、先輩。また明日
「麻美ちゃん、藤が後輩に浮気してるなんて知ったら泣いちゃうかもなー」
「アホか。そんなんじゃねぇよ」
宇佐美先輩を小突いて、面倒そうにそう吐き捨てた先輩。
またまたなんでかわからないけれど、胸がずきりと痛んだ。
あれ。
なんでわたし傷ついてるんだろう。
「てめーは本当にうざいことしか言わねぇな」
「え~? 俺だってたまにはイイコト言うよ?」
「宇佐美先輩、うざいです」
「うわ。杏ちゃんまでひどくない?」
さすがに傷つくよ?
なんて言いながらも宇佐美先輩は笑ってる。
だからわたしも冗談っぽく笑っておいた。
いまここで、ちょっとでも傷ついたことを知られちゃいけないと思ったから。
タイミング良く電車がホームに滑り込んできてほっとした。
先輩2人に続いて電車に乗ろうとした時、離れた前の方の車両に山中さんが乗りこむところが視界に映った。
なぜか、彼女はわたしを強く睨みつけていた。