おやすみ、先輩。また明日


「くるくる。来てたのか」


「杏ちゃん、おはよー」


「おはよう、ヤンキー先輩。宇佐美先輩」


「朝電車にいなかったから休みかと思った」



わたしは気まずくて目を伏せる。

ふたりの上靴に比べると、わたしの上靴が子ども用みたいに見えた。


今朝、わたしはいつもより1本遅い電車で登校した。

だからヤンキー先輩とは今日はじめて会う。



「ちょっと寝坊しちゃって」



嘘じゃない。

イヴに麻美さんと過ごさないヤンキー先輩について考えていたら、夜眠れなくなったから。


けっして昨日宇佐美先輩に聞いたことで、ふてくされたとかじゃない。

断じてないよ。


ない。

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