おやすみ、先輩。また明日
『杏ちゃんあけおめ~』
「あけましておめでとう、宇佐美先輩。今年もよろしくです」
『こちらこそ、今年も美味しいお菓子よろしくね? ところで藤と話したりした?』
「メールはしたけど……」
『ふーん? どうしちゃったの杏ちゃん。犬らしくないんじゃないの』
らしくないって、わたしはそもそも人間であって犬じゃないんですが。
ヤンキー先輩の犬になりたい、なんて思ったりはしたけども。
『今日藤の家行ったんだけどさー。なんか寂しそうにしてたよ』
「なんでですか?」
『さあね。寂しそうっていうのも俺の主観だし』
「またテキトーなこと言って……」
『でもさ。実際杏ちゃん、藤のこと避けてるでしょ?』
油断させておいて、正面からざっくりと鋭いセリフを刺してくるのはさすが。
やっぱりわたしの行動って、ヤンキー先輩を避けてるってことになるのか。
ヤンキー先輩もそんな風に感じてるのかな。
冬休みの間はずっと田舎に泊るって言いわけは、ちょっと不自然だったのかもしれない。