おやすみ、先輩。また明日


『藤のことあきらめたの?』


「そういうことじゃ、ないんだけど。ちょっと混乱してて。
自分の気持ちを整理したかったんだ」


『何をそんなに混乱することがあんの? 素直に喜んどけばいいじゃん。
藤は彼女と上手くいってない。おまけに初詣に杏ちゃんを誘った。これでなんで藤を避けるんだか』


「だから、避けてるつもりじゃなくて。……初詣、ヤンキー先輩と一緒に行きたかったなあ」



断ったのはわたしなのに。

なに勝手なこと言ってるんだろう。


案の定、電話口からあきれたようなため息が。



『じゃあ行けばいいじゃん。いまからでも誘って。藤は昨日俺と行ったけどね』


「宇佐美先輩と行ったの? 彼女は……?」


『だから~。絶対に上手くいってないんだってば。
なんでこのチャンスをみすみす逃すような真似するかなあ』


「上手くいってないって、ヤンキー先輩が言ったの? それとも麻美さんから相談とかあった?」


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