おやすみ、先輩。また明日
そうだろうとは思っていたから驚かない。
これから言われることも、想像がつく。
指先が冷えていく。
それはきっと、寒さのせいだけじゃない。
「……場所、移しましょうか」
「大丈夫。すぐ終わるから」
しっかりとした答えに、わたしもまあいいかと思いながら、こちらをじろじろ見てくる下校生徒たちを見返した。
噂になったとしても、2年生はいま修学旅行でいないし大丈夫だよね。
「前にあなたに痛いことを言われたから、今日はひとりで来たんだよ。だから聞いてくれるよね……?」
お友だちの後ろに隠れていた彼女はどこに行ったんだろう。
今日の麻美さんは、視線を揺らしながらも真っ直ぐにわたしを見て、はっきりと言葉を発している。
ぐっと握りしめたこぶしから、彼女の意気込みを感じた。
彼女は強い決意でもってここに来たんだ。
そんな相手に、わたしは……。