おやすみ、先輩。また明日

だから横恋慕してるだけの、最初からずっと片想いなわたしには、疑問なんてぶつける権利さえないんだ。


わたしに言えることは、なにもない。




「それだけ、言いたかったの。……この間はごめんなさい。さよなら」



麻美さんは小さな体を真っ直ぐにぴんと伸ばして、しっかりとした足取りで去っていった。


わたしはその背を見送りながら、眩しいなと感じた。

はじめて彼女を、羨ましいって思った。




「そっか……」



ひとつ、気付いたことがある。


ヤンキー先輩をずるいと思ってた。

ずっとずるいと心のどこかで責めていた。



でも彼をずるくさせているのは他でもない、私なんだと。

麻美さんの言葉で気づいた。



彼を好きになったことに後悔はないけど、

そろそろ私も見切りをつけて、前に進む時なのかなと。


ぼんやりと、涙を流しながら考えた。










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