おやすみ、先輩。また明日
だから横恋慕してるだけの、最初からずっと片想いなわたしには、疑問なんてぶつける権利さえないんだ。
わたしに言えることは、なにもない。
「それだけ、言いたかったの。……この間はごめんなさい。さよなら」
麻美さんは小さな体を真っ直ぐにぴんと伸ばして、しっかりとした足取りで去っていった。
わたしはその背を見送りながら、眩しいなと感じた。
はじめて彼女を、羨ましいって思った。
「そっか……」
ひとつ、気付いたことがある。
ヤンキー先輩をずるいと思ってた。
ずっとずるいと心のどこかで責めていた。
でも彼をずるくさせているのは他でもない、私なんだと。
麻美さんの言葉で気づいた。
彼を好きになったことに後悔はないけど、
そろそろ私も見切りをつけて、前に進む時なのかなと。
ぼんやりと、涙を流しながら考えた。
・
。
+
*
.
。
*
.