おやすみ、先輩。また明日
「ふたりともうるさいよー」
「そーだそーだ。アドレスのひとつやふたつでごちゃごちゃ言うなんて、器の小さい男だよねぇ、杏ちゃん」
「ウザミてめぇ降りたらわかってんだろーな」
「もう。宇佐美先輩も煽らない! ヤンキー先輩もいちいち突っかからないの!」
ひとりで乗っていた電車はあんなに静かだったのになあ。
でもこのうるささも心地よいんだけどさ。
「あ、そうだ。これお土産のお礼に!」
わたしは鞄からリボンでラッピングした袋をふたつ取り出した。
昨日大量に作った、色んな種類のファッジだ。
レシピもまだ改良の余地がある。
「ありがと杏ちゃん。これは何?」
「チョコファッジだよ。チョコ好きな人にあげる用のやつだから、ヤンキー先輩には甘過ぎるかもしれないけど」
「……そうか」