おやすみ、先輩。また明日


「ふたりともうるさいよー」


「そーだそーだ。アドレスのひとつやふたつでごちゃごちゃ言うなんて、器の小さい男だよねぇ、杏ちゃん」


「ウザミてめぇ降りたらわかってんだろーな」


「もう。宇佐美先輩も煽らない! ヤンキー先輩もいちいち突っかからないの!」



ひとりで乗っていた電車はあんなに静かだったのになあ。

でもこのうるささも心地よいんだけどさ。



「あ、そうだ。これお土産のお礼に!」



わたしは鞄からリボンでラッピングした袋をふたつ取り出した。


昨日大量に作った、色んな種類のファッジだ。

レシピもまだ改良の余地がある。



「ありがと杏ちゃん。これは何?」


「チョコファッジだよ。チョコ好きな人にあげる用のやつだから、ヤンキー先輩には甘過ぎるかもしれないけど」


「……そうか」


< 318 / 356 >

この作品をシェア

pagetop