おやすみ、先輩。また明日
思いきり不機嫌そうな空気を背負ってこっちを睨んでる。
いつか来るとは思ってたけど。
実際鬼の姿を見ると足がすくむ。
「……宇佐美先輩。どうしたの」
目立ちすぎる彼をいつまでも無視しているわけにもいかない。
仕方なく宇佐美先輩の前に立つと、むんずと制服のうしろ襟をつかまれた。
「杏ちゃん。ちょっと来なさい」
低い声でそう言った宇佐美先輩に、わたしは廊下をずるずると引きずられるはめに。
悪目立ちしてる!
どこに強制連行されるの!?
着いた先は、ひと気のない部活棟の入り口。
宇佐美先輩は壁に背中をつけて、わたしを高い位置から見下ろした。
「で?」
「……で、とは」