おやすみ、先輩。また明日
「言いわけは? あるならさっさと言う。16文字以内で」
16文字って微妙じゃない?
考えたけど16文字におさめるどころか、上手い言いわけ自体見つからなかった。
結果だまってうつむくことになる。
「……あのねぇ杏ちゃん。俺に対して沈黙が許されるとでも思ってんの?」
「オモッテナイデス」
「なんなの最近。杏ちゃんらしくない。そんなに俺にいじめられないわけー?」
「メッソウモナイデス。いたっ」
宇佐美先輩の容赦ないげんこつが落ちてきた。
本気だ。痛い。
頭頂部をさするわたしに、宇佐美先輩は長いため息を吐いた。
「なに。藤をあきらめることにでもした?」
「……はい」
「……は? 本気で?」