おやすみ、先輩。また明日
宇佐美先輩のアーモンド型の瞳が丸くなる。
素でとても驚いたみたい。
なぜかちょっとすっきりした。
「それ、どういう心境の変化?」
「うーん……ちょっとずつ、変わっていってたんだけど。この間麻美さんに会ったの」
「は!? また性懲りもなく来たのかよあの女。いつ!」
「ち、ちがうちがう! 麻美さんひとりで来たの!
修学旅行でふたりがいない時にね、学校まで」
真っ直ぐにわたしを見据える彼女の瞳。
あれが決め手だった。
わたしの終わりが見えず迷い続けていた片想いに引導を渡したのは、皮肉にも片想い相手の彼女だったんだ。
「ひとりで来て、彼女らしく堂々とわたしに言ったんだ。
もうヤンキー先輩には近づかないでって」
「そんなの無視すればいいじゃん」
「うん。でもさ、わたしにはできなかった。この人に面と向かってそう言われちゃったら、もうそうするしかないなって」