おやすみ、先輩。また明日

告白もしない。

この気持ちは言葉にすることなく終わらせる。


わたしの“好き”はいつだって、彼に渡してきたスイーツたちの中にあった。


だから最後も、わたしはチョコの中に想いをこめる。




「そっか。じゃあバレンタインが終わったら付き合おうか」


「……誰と誰が?」


「俺ときみが」



笑顔でわたしと自分を指す宇佐美先輩。


この人は本当に言うことがいつも、本気なんだか冗談なんだかわからない。

わたしを気遣ってくれてるんだろうけれど。



「考えておきます。気が向いたらね」


「うわっ。杏ちゃんのくせに生意気~」



ぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜられて、わたしは笑った。


おかしな人だけど、こうしてわたしを笑わせてくれる。

助けてくれる。支えてくれる。


ありがとう、宇佐美先輩。



義理チョコ作るねって言ったらわりと本気で殴られた。

ひどい。









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