おやすみ、先輩。また明日
からかうようにお母さんが笑う。
発売されたレシピ本は、もちろんお母さんもすでに読んでいて。
全部知られてしまった。
わたしのこれまでの片想い。
でもお父さんには秘密にしてもらったから、、まあよしとした。
「別に誰でもいいじゃん」
「ふふふ。がんばんなさいよ」
そう言ってテレビにまた集中し始めたお母さん。
はじめて、お母さんにちゃんと応援されたような気がする。
いや、きっとお母さんはいつだってわたしをお姉ちゃんと弟と同じように見てくれていたんだろう。
ただ、わたしが勝手にふてくされてただけだ。
小さな子どものままの考えで。
でもそれがわかったのが今回のバレンタインだなんて。
なんだか申し訳なくなった。