おやすみ、先輩。また明日

わたしの髪に絡まったせいで、壊すことになってしまったあの可愛いスイーツデコのキーホルダー。

それとよく似たものが、先輩の鞄にぶら下がって揺れていた。


今度はタルトだ。

上に乗っているのは苺に柑橘類、それからメロンかな。砂糖菓子のようにコーティングされててらてらと光るそれは、本物のフルーツタルトみたい。



「ヤンキー先輩、それ……」


「ん? ああ、これ。昨日壊れたって話したら今朝渡された。あいつこういうのたくさん作ってるから、くるくるも気にすんな」


「そう、ですか……。良かったです!」



その完璧なまでに可愛いキーホルダーは、まるで顔も知らない彼女の所有宣言みたい。

ヤンキー先輩の鞄にぶら下がって、周りを牽制してるよう。


きっとヤンキー先輩はそんな風に考えたことなんてないんだろうな。



フルーツタルトのキーホルダーを怖いと感じて気づいた。

わたし、ヤンキー先輩のことを……。


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