おやすみ、先輩。また明日


「でもさー。俺もいまのはちょっと気に入らないよね」



そう言って、宇佐美先輩がにっこりと張りつけたような笑顔を山中さんに向ける。


なんでだろ。

笑ってるのに、なんだか宇佐美先輩が怖い。



「俺別に、杏ちゃんにお呼ばれされたわけじゃないんだよねー。俺が美味しいもの食べたくて、勝手に来たの。
わかるかな、ジミーちゃん」


「じ、ジミー?」



山中さんが困惑したように眉を寄せる。


ジミーって何?

山中さんは見た通りの純日本人だと思いますよ、宇佐美先輩。



「そ。見た目地味だからジミーちゃん。真面目ちゃんとかの方が良かった?」



悪意なんて微塵もありません、といった感じの笑顔でさらりと毒を吐いた宇佐美先輩に、さすがの山中さんも口をあんぐり開けて固まっていた。

わたしも同じような顔で固まってしまう。


うわあああ。

宇佐美先輩って……怖い!


爽やかで害のなさそうな見た目なのに、めちゃくちゃ怖いじゃん。

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