おやすみ、先輩。また明日
悪びれない態度の宇佐美先輩の頭に、またヤンキー先輩のげんこつが落ちた。
痛そうだけど、宇佐美先輩は慣れたような顔して肩をすくめる。
なんだか、ツーカーって感じで羨ましい。
って、なんでわたしが宇佐美先輩に嫉妬しなきゃならないの。
2年のマイコ先輩はため息をついて、調理室を振り返って申し訳なさそうに頭を下げた。
「すみませーん! 私が今日調理の日だって教えたら、クラスメイトが来ちゃって! すぐに追い出しますからー!」
その言葉に納得したのか、手を止めていた先輩たちは作業に戻っていった。
山中さんは顔を真っ赤にして俯いたままだけど。
「ほら、宇佐美くん! さっさと行った行った!」
「ひどいなー、マイコちゃん。せっかく美味しいもの食べられると思ったのに」
「しつけーぞウザミ。……騒がして悪かったな」
ヤンキー先輩がわたしを見て優しく微笑んでくれた。
胸がキュウッと絞られるみたいになって、嬉しいのに苦しくて、たまらなくなる。