おやすみ、先輩。また明日


「天パなんです。ストパーかけても矯正しても、全然まっすぐにならなくて。……ごめんなさい」


天パなうえに元々茶色っぽい髪のせいで、いじめられたこともあった。

中学までは完全にコンプレックスだったこの髪。

高校生になるんだからと、開き直って髪を伸ばした。

コンプレックスを、逆にチャームポイントにしようと試みたわけだ。


でもこんな風に知らない人に責められるくらいなら、伸ばしたりするんじゃなかった。



「……そうだ。わたしのペンケースにハサミが入ってるんで、カバンから取ってもらえますか?」

「なんでハサミ?」

「からまってる部分だけ、髪を切っちゃえばいいんじゃないかと思って」



自棄に気味にそう言うと、少しの間のあと上からため息が降ってきた。

そのあと軽く、頭に手が乗せられたのがわかってどきりとする。



「あー、と。気にしてたなら悪い」

「え……」

「金具のとこで絡まってるから、壊すわ。動くなよ」

「え、え。壊すって、あの」

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