おやすみ、先輩。また明日


「でも、山中さん泣きそうだったし……」


「だからって、なんで桜沢が謝んなきゃなんないの? いまのはどっちかっつーと、山中が謝るとこだったじゃん。先にひどいこと言われたのは桜沢だし」


「それは、そうかもしれないけど」


「多分さー。さっき山中は謝ろうとしてたんだと思うよ」



あの山中さんが、わたしに謝る?

そんなことあるわけない。


いつもわたしを敵視している彼女が、わたしに頭を下げるなんて想像できなかった。



「謝ろうとしてた相手に先に謝られたら、なんでだよ!って思うのもしょうがないっしょ」



肩をすくめて、須賀ちゃんは作業を再開する。


須賀ちゃんはよく山中さんに、空気が読めないとか何も考えてないとか散々言われてるけど、それは違う。

須賀ちゃんは人一倍、回りのことをよく見ていて、冷静に相手のことを考えられるすごい人なんだ。

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