おやすみ、先輩。また明日


「……須賀ちゃん」


「んー?」


「須賀ちゃんも、わたしのこと感じ悪いって思った?」


「えー? 思わないよ? だってわたしが何か言われたわけじゃないし!」



いつも通りの元気の良い笑顔でそう言われ、わたしは曖昧に笑い返した。

強くてかっこいい須賀ちゃんは、わたしにはちょっと眩し過ぎる存在だ。


たぶんそれは、自分に自信がないから。



わたしは、友だちはきっと人と比べて多い方。

ケンカもしたことないし、敵を作ったこともないと思ってる。


部活に入っていなかった中学生までの頃は、平日も休日も常に友だちに誘われて。

朝から家に帰るまで、ずっと友だちに囲まれていた。


それはわたしに人を惹きつける魅力があるとか、そういうことではなくて。


「杏は話しやすい」とか「杏といると自分を出せる」とか、よく言われていたことが理由なんだろう。



わたしは無意識のうちに、自分を隠してしまうんだ。

< 62 / 356 >

この作品をシェア

pagetop