おやすみ、先輩。また明日
「……須賀ちゃん」
「んー?」
「須賀ちゃんも、わたしのこと感じ悪いって思った?」
「えー? 思わないよ? だってわたしが何か言われたわけじゃないし!」
いつも通りの元気の良い笑顔でそう言われ、わたしは曖昧に笑い返した。
強くてかっこいい須賀ちゃんは、わたしにはちょっと眩し過ぎる存在だ。
たぶんそれは、自分に自信がないから。
わたしは、友だちはきっと人と比べて多い方。
ケンカもしたことないし、敵を作ったこともないと思ってる。
部活に入っていなかった中学生までの頃は、平日も休日も常に友だちに誘われて。
朝から家に帰るまで、ずっと友だちに囲まれていた。
それはわたしに人を惹きつける魅力があるとか、そういうことではなくて。
「杏は話しやすい」とか「杏といると自分を出せる」とか、よく言われていたことが理由なんだろう。
わたしは無意識のうちに、自分を隠してしまうんだ。