おやすみ、先輩。また明日
やぱり宇佐美先輩って苦手かも。
怖い人だ。
色素の薄いあの瞳は、何もかも見透かすことができるんじゃないんだろうか。
「ま、いいけどねー。……おお。これ美味しいじゃん。底になんかパリッとしたのが入ってる」
ぱくりとティラミスをひと口食べた宇佐美先輩は、にっこり綺麗な笑顔で褒めてくれた。
怖い人だけど、悪い人ではないんだと思う。
「普通のじゃ芸がないので、薄くチョコを敷いてみたんですよ。宇佐美先輩、気付くなんてすごい」
「俺味にうるさいから。料理は愛情とは、よく言ったもんだよね」
「そう、ですね。手間暇かければ、その分美味しくなりますから」
「でも俺、正直手作りって苦手なんだよねー。よく女のコからもらうんだけどさ。なんか重たい念がこめられてそうで怖くない?」
だったら何でわたしに、何か作ってなんて言ってきたんですか。
いや、これはわたしのことを言ってるのかも。
わたしのヤンキー先輩への気持ちを、責めてるんじゃないだろうか。
やっぱり宇佐美先輩は、怖い人だ。