おやすみ、先輩。また明日
「お前、将来ケーキ屋とかなれば。向いてるよ。俺なら買いに行く」
「ヤンキー先輩、甘い物苦手なのにケーキ屋さん行くの?」
「お前の作ったのならイケるっつったろ?」
「えへへ。嬉しい。先輩、わたしね。パティシエになるのが夢なんだ」
「ケーキ作る奴だろ? お前ならなれるな」
ああ、優しいな。
なんて優しい人なんだろう。
ますます好きになってしまう。
これ以上好きにさせないでほしいのに。
「ほら」
ティラミスをすくったスプーンが、目の前に差しだされる。
戸惑っていると、スプーンが口元まで迫ってきた。
「早く口開けろ」
「えっ!? で、でも」
「いいから」