おやすみ、先輩。また明日


「お前、将来ケーキ屋とかなれば。向いてるよ。俺なら買いに行く」


「ヤンキー先輩、甘い物苦手なのにケーキ屋さん行くの?」


「お前の作ったのならイケるっつったろ?」


「えへへ。嬉しい。先輩、わたしね。パティシエになるのが夢なんだ」


「ケーキ作る奴だろ? お前ならなれるな」



ああ、優しいな。

なんて優しい人なんだろう。


ますます好きになってしまう。

これ以上好きにさせないでほしいのに。




「ほら」



ティラミスをすくったスプーンが、目の前に差しだされる。

戸惑っていると、スプーンが口元まで迫ってきた。



「早く口開けろ」


「えっ!? で、でも」


「いいから」

< 71 / 356 >

この作品をシェア

pagetop