おやすみ、先輩。また明日


おそるおそる口を開くと、そっと差しこまれたスプーン。

部活でも食べたけど、なかなか上手に出来たと思う。


わたしにはちょっと苦い、大人の味。



「美味いだろ」


「美味いだろって、私が作ったのに」



照れ隠しに頬を膨らませると、ヤンキー先輩は笑いながらまたひと口食べる。


間接キスだ。

なんて、わたしってば乙女過ぎる。


なんとなく恥ずかしくて、彼から目を反らしてガラスの向こうに目をやると、ガラス越しに宇佐美先輩と目が合った。

またニヤニヤした笑いを浮かべるのかと思ったけど、予想外に彼は真面目な顔をしていて。


やっぱり彼はわたしの気持ちを見抜いているんだろう。



「なんかさー。2人とも、俺の存在忘れてない?」



不意に表情をがらりと変えて、人の良さそうな笑顔で冗談を言う宇佐美先輩。

何を考えているかわからないから、なおさら怖いと感じた。


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