おやすみ、先輩。また明日
「なんでもない! っていうか、ヤンキー先輩、こんなとこで制服で煙草はないでしょう!」
「あ? 固いこと言うなよ」
「あはは。だから藤はヤンキーって言われるんだよー」
3人で暗くなるまでそうやって笑い合って、同じ電車で帰った。
ヤンキー先輩の友だちである宇佐美先輩の前で、胸を張ってヤンキー先輩に話しかけられない自分が嫌だと思った。
どっちつかずで、逃げてばかりいた自分。
楽な方に楽な方に、流されるまま生きてきた。
角が立たないように、誰かと衝突しないように、周りに合わせて笑ってきた。
それでいいって、それが正解だって思ってきた。
自分が意見を言ったところで、誰かとぶつかるだけだし。
それなら我慢して周りに同調していた方がいいって。
でもあなたに恋をして、そんな自分を変えてみたいと思ったの。
わたしはもっと、強くなりたい。
あなたのことが好きだと、胸を張って言えるくらいに。