おやすみ、先輩。また明日

どうしよう、殴られる? たかられる?

自分の行く末を想像して震え上がった。



「あ、あああの……っ」


「次、降りるぞ」


「へっ?」


「学校サボんのか? 俺は行くけど」



意外なことを当然のように言う相手を、ぽかんと見つめてしまう。


不良なのに、遅刻確定でもちゃんと学校に行くんだと、ちょっと感心する。


この人はわりと真面目なヤンキーなのかもしれない。

いやいやいや、真面目なヤンキーって何だ。矛盾してるよ。


自分で自分にツッコミを入れていたら、次の駅に着いてしまった。

不良な彼が先に降りたので、ちょこちょことそれに続く。



あーあ。
高校生になって2ヶ月で、はじめて遅刻してしまった。

数学の小テストは受けられないな。

先生になんて言い訳しよう。



「お前、東円寺の1年?」


「はい、そうです。えっと、あなたは」


「俺は2年」



やっぱり先輩だった。

雰囲気が大人っぽかったから3年生かなと思ったけど、1つ上かあ。

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