おやすみ、先輩。また明日


「水も滴る……って言うけどさぁ。滴るのがコーラじゃかっこつかないよねぇ」



ぶつぶつ文句を言いながら、宇佐美先輩はおもむろにシャツを脱いだ。

中に来ていたTシャツも濡れてしまったみたいで、それも脱ぐと、宇佐美先輩の白いけど引き締まった体が露わになる。


周りの女子から黄色い悲鳴が上がって、わたしも目のやり場に困って慌てて俯いた。


男の人の裸体なんて、見る機会ないし!

む、胸が! 腹筋が!



「おい、宇佐美。こんなとこで脱ぐんじゃねーよ」


「だって濡れて気持ち悪いんだもん。藤さ、教室から俺の着替え持ってきてくんない? ジャージと一緒にTシャツ入ってるから」


「いいけど、お前どーすんだよ」


「あっちの水道で服洗う」



そう言ってすたすたと歩き出す宇佐美先輩に、ヤンキー先輩はやれやれといった感じで肩を竦めて教室へと戻っていった。

着替え、取ってきてあげるんだ。優しい。


わたしはその背中を見送ってから、宇佐美先輩を追いかける。

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