おやすみ、先輩。また明日
「あの、宇佐美先輩! わたしに洗わせてください!」
「いーよ、自分でやるから。別に怒ってないし、気にしないで戻っていいよ」
「そういうわけにはいかないです。洗わせてください」
「いいって言ってんのに。……ま、好きにしたらいいよ」
そっけなく言って、水道の前まで来ると、宇佐美先輩は濡れた服を投げて寄こした。
シャツからはコーラの匂いと、それから宇佐美先輩のつけている柑橘系の香水の匂いがする。
「本当にごめんなさい……」
濡れた部分を水で洗いながら、申し訳ない気持ちでいっぱいになってまた謝った。
宇佐美先輩は水飲み場の縁に腰かけて、鼻で笑う。
「舞い上がってるって感じだよねぇ。そんなに藤が好き?」
「……好き、です」
言った。
言ってしまった、自分の気持ち。