おやすみ、先輩。また明日

どうせ見抜かれているならって思って言ったけど、口にしたら益々気持ちが膨らんだ気がする。

元々強かった想いが、もう隠しきれないくらいに。



「忘れてんのかもしれないけど、藤には麻美ちゃんていう可愛い彼女がいるんだよ。中学の時から付き合ってて、仲もいい。
きみが作ったケーキを食べたあと、藤は彼女と会ったりもしれるんだけど。そういうの全部わかって言ってる?」



そんなのわかってた。

わかってたけど、いざ聞かされると想像以上にショックが大きい。



「休みの日には大体デートしてるし、彼女の前では煙草を我慢したりもしてる。あんな顔して彼女を大事にしてるんだよ、藤は」



耳を塞ぎたい。

でもシャツを洗っていてはそれもできない。


宇佐美先輩はひどい人だ。



「きみのことも可愛がってるようだけど、だからって何になるの? 横恋慕してて、虚しくなんない?
麻美ちゃんからしたら、きみは彼氏に手を出す悪者だしね」


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