おやすみ、先輩。また明日
だから涙を出すきっかけを作ってくれた宇佐美先輩には感謝するべきなのかも。
「ほら、杏ちゃんも違うって」
「……ほんとかよ」
「藤しつこーい。あ、着替えありがと。これ以上裸でいたら、またファンが増えちゃうとこだった」
冗談なのか本気なのかわからないことを言いながら、宇佐美先輩はヤンキー先輩からもぎとったTシャツを着る。
距離ができたことで、宇佐美先輩からの圧迫感みたいなものが消えてほっとした。
「大丈夫か? くるくる。あいつに何言われた?」
ヤンキー先輩が、真剣な表情で顔を覗き込んでくるから、わたしは無理やり笑って首を振った。
ヤンキー先輩に迷惑かけちゃいけない。
「大丈夫。全然たいしたことじゃないから、ヤンキー先輩は気にしないで」
「たいしたことじゃないなら、泣くこともねーだろ」
「そう、だよね。でも本当に大丈夫だから」