おやすみ、先輩。また明日
心配してもらえるのは嬉しいけど、ヤンキー先輩に話せるわけもない。
こんなこと聞かされても、彼が困るだけだ。
でも先輩は不満そうな顔で、傍にいた宇佐美先輩の背中を思いきり蹴り飛ばした。
「いったぁ!? 何すんの藤!」
「うるせぇウザミ」
「暴力反対!」
「うぜぇ」
蹴り合う2人を横目に、わたしはため息を飲みこみながら宇佐美先輩のシャツを絞った。
ついたばかりの染みは、こうして洗えば綺麗に落とせる。
でもとっくに滲み広がった恋心は、どうやって洗い流せばいいの。
そもそもわたしは洗い流したいなんて、思ってる?
大切に抱え込んでいたんじゃない?
恋に浮かれていた自分自身を、わたしは静かに見つめ直した。