おやすみ、先輩。また明日

心配してもらえるのは嬉しいけど、ヤンキー先輩に話せるわけもない。

こんなこと聞かされても、彼が困るだけだ。


でも先輩は不満そうな顔で、傍にいた宇佐美先輩の背中を思いきり蹴り飛ばした。



「いったぁ!? 何すんの藤!」


「うるせぇウザミ」


「暴力反対!」


「うぜぇ」



蹴り合う2人を横目に、わたしはため息を飲みこみながら宇佐美先輩のシャツを絞った。


ついたばかりの染みは、こうして洗えば綺麗に落とせる。

でもとっくに滲み広がった恋心は、どうやって洗い流せばいいの。



そもそもわたしは洗い流したいなんて、思ってる?

大切に抱え込んでいたんじゃない?



恋に浮かれていた自分自身を、わたしは静かに見つめ直した。











< 89 / 356 >

この作品をシェア

pagetop