おやすみ、先輩。また明日








その日の放課後。

委員会があって遅くなったわたしは、調理室へと廊下を駆けていた。



そして見てしまった。



廊下の窓から見える校門。

そこに並んで立つ、1組のカップルを。



小柄な彼女の方は、他校の制服だった。

赤のチェック柄のスカートがとても可愛い。



そして彼氏の方は、遠目でもわかる、わたしの好きな人。



思わず足を止めた。



「彼女……迎えに来たんだ」



この時初めて、わたしはヤンキー先輩には彼女がいるってことを、本当の意味で理解した。


頭ではわかっていたけど、実際に目にすると重みが全然違う。


2人は仲良さげに手を繋いで、校門前から去っていった。

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